「ククッ…アンタはお忘れのようだが
俺ァもう、役人でも"鬼"でもねぇ。
お前らが守ろうとしてる大切な"一般人"なんだぜ?」
「………。」
「"一般人"がここの仕事の"手伝い"を特別にしてるだけだ。」
それが分かったらもう2度とこんな真似するんじゃねェよ。
そう告げると
善は青戸に背を向けて、部屋の扉を開けて出て行った。
それに続いて、
喜一も青戸に一礼してから
善を追いかけるように部屋を出て行く。
1人部屋に残された青戸は
はぁ…と、ため息を漏らしながら
椅子を半回転させ
背後にあった窓の方へと体を向けた。
「…かつては"鬼"と称され
組織の中ですら恐れ遠ざけられた存在だった男……
それが抜けた穴はかなりでかかったらしいな。」
あの男の存在はかなり惜しかったか---。
青戸はそう独り言を呟きながら
窓から見える外の景色を
遠い目をしながら眺めるのだった。

