コンコン


「杏奈ー?蓮也だけど。入るぞ?」


そこにいたのは…


間違いなく杏奈。


床にバラバラになって落ちた一生懸命作成した書類があって。


その近くに苦しそうに息をした杏奈が横たわっていたんだ…




「杏奈!?美穂!救急車呼んで!」

「うん!」

「恭!会場内にいる人にうまく伝えて。
あと、杏奈の父親に本当のことを伝えて!」

「おう!」


「杏奈…っ!もう少しだ!頑張れ…っ!」


「れ…んや…。」

「杏奈?」

「わたしは…だい…じょうぶ…だから…」

「は!?ふざけんな!頑張れよ!持ちこたえろ!」

「今まで…あり…が…とう…」


そう言って、俺の腕の中にいる杏奈はぐったりとした。



「杏奈!!」

ピーポーピーポー…


「来たよ!藤崎!運べる!?」

「余裕だ。外まで行くぞ!」

「うん!」

「置いてくなよ!」

「あ、恭!走れ!」

「あぁ!」

「杏奈…っ!頑張ってくれっ!」