ー蓮也 sideー
はぁ…また言えなかった…

実は俺の家は極道なんだ。

つまり、裏社会ってこと。

もっと簡単に言おうか。




つまりは、ヤクザだ。



このことを知ったら杏奈はどう思うだろう。

杏奈は俺が築いてきた壁をあっさり崩してきたやつのひとりだ。

今までの中では3人しかいない。

1人目は、恭。あいつの過去を知った時は驚きだったけどな。

2人目が杏奈の友達の新田美穂。

そして最後が西川杏奈。


俺があいつに惚れたのは、ほんの小さなことだった。

ただ、学校が終わって近くの公園に入った時にひとりの男の子が泣いていたんだ。俺はめんどくさいな、と思いながら近くのベンチに座った。


そこで公園に入ってきた女の子がいたんだ。

その子は、優しい笑顔で男の子に笑いかけて、「大丈夫?」

そう言ったんだ。

俺は、この子とは逆の世界に住んでいるんだなって思った。