白砂にはすぐに消えてしまう足跡が2人分。

まさかの展開に、

私は恐る恐るたずねる。


「あの…一緒に行ってくれるんですか?」


生きるか迷っていたと言った男は、

今私の前を歩いている。


「あんた危なっかしいし、

俺も光のことは気になってたから…。」


「…ありがとう…ございます。」


少し納得いかない部分もあるけど、

正直1人だと不安でいっぱいだから、

ここは大人しくしておこう。


「そういえば、もう名前くらいしか

覚えてないって言ってましたけど、

何ていうんですか?」


「……。」


明るく話しかけたが、返事はない。


「私が覚えてれば、もしあなたが忘れても

教えてあげられるかも!

って…思ったんですけど…。」


最後の方は声が小さくなりながらも

話続けるが、

男は前を向いたまま無言で歩き続ける。


……。

私なにこんな人に親切しようとしてるんだろ。

でも、黙ってると不安に押し潰されそう…。



また沈黙に耐えかねた私は、

自分のことを話すことにした。