家に帰ると、
予想通り心配していた母に謝り、
久しぶりの食卓に着く。
「今日は笑咲の好きなものばっかりだよ!」
母がそう言って、
私の大好物の海老フライを目の前に置いた。
家族揃って美味しいご飯が食べられる。
今までは当たり前だったことが
どれだけ幸せなことか、今ならわかる。
一口一口味わっていると、
亜美が問いかけてきた。
「そういえば、お姉ちゃん変なものは
見えなくなった?」
「え…!?」
「初め目を覚ました時、
誰か見えたみたいだたから…。
オバケでもいたのかと思って、
すごい恐かったんだからー!!」
思わず持っていた茶碗を落としそうに
なりながら、冷静なふりをして答える。
「あはは…。驚かせてごめんね。
もう大丈夫だよ…!」
私はチラッとハルの方に視線を向ける。
ハルはソファに座って、
熱心にテレビを見ている。
…ごめんね。
ほんとは今も亜美の後ろのソファに
座ってるよ…。
心の中でそうつぶやきなから、
これから始まる奇妙な生活に不安を覚えた。