そこには、みんな笑顔のメンツが集まっていた。

「いーい、いつもの感じでいくよ!」

五十嵐の声で、俺達はルーティーンにしている円陣を組む。まるで、あの文化祭の時のように。
そして、右手を乗せていって俺が合図を出す。

「せーの!」
「おー!!!」

※※※※※

あれから数年が経ち、みんな大学生になっていた。
リクに至っては別れたくない一心で、俺達と同じ大学に入っていた。
いくつものサークルを渡り歩き、ライブハウスの場数を踏み、そして遂にプロとしての切符を手にしていた。


コンテストだ!


メンバーは高校の時のまま。ドラム五十嵐、キーボード中川、リクギター、ボーカルメグ、そして俺がベース。
プロとして通用するのか、全く分からない。だが、チャレンジする気持ちはみんな同じだ。

舞台袖には大田の姿もある。嬉しい事だ。
もう、リクもメグも気後れする事なく、堂々と幾多のステージをこなしてきた。
円陣から離れ、ステージに立つ。
いつもと一緒。上手くいかないわけがない。
それに俺にはな、大切なお守りがあるんだ。

みんなの顔を順に見て回り、五十嵐にカウントの合図を出す。



見ていてくれよ。



「いくぞ!」