栞の笑顔が見たくて

一晩休めば、翌日には帰路に着く。
そう。その日その夜の事だった。

「お前のあの時の事、話してくれよ」
「何にもねーよ」
「ミヒロは隠し事下手だから、顔に出るんだよな」
「なんだそれ」
「まんまの事だよ。言っちまえよ、誰にも言わねぇから」

言えるかよ。

「ミヒロく~ん」
「なんだよお前、気持ち悪い」
「お前がそうやって口を割らないならこうだ!」

そう言って大田は俺の脚を掴み、四の地固めをかけてきた!
そして、それはガチで痛かった。

「言うか!」
「おい待て、これは反則だぞ。大田!」
「ほらほらー、言っちまえば楽になるぞ」
「おまえ、いってえええええ」

下からおばあさんがかけ上がってくる。

「涼!何してるの!」
「助かった…」
「いやこれは、何でもないんだ。そう、遊びの延長で」
「三田君ごめんね。今度お友達にそういう事したら、お父さんに言うから!」
「いや、ごめん。もうしないから。ばっちゃん、許して」
「今度だけだからね」

そう言うと、おばあさんは下へ降りていった。

「ミヒロが喋らないからじゃねぇかよ」
「何で俺のせいなんだ」
「まぁいいや、俺もう寝る。おやすみ」

『ったく、ホントに勝手な奴だ』
『ごめんね、痛かった?』
『痛えよ。マジだからな』
『涼って言いだしたら止まらない。これって子供の時から変わってないね』
『そうなんだ。ま、太田らしいわ』
『もう休む?』
『そうだな、俺も寝るとするか』

そう言って翌朝までの記憶は、俺には無かった。