季節は冬。
期末試験も終わり、クリスマスを目前に控えたある日の事。
その日も部室では、ビートルズの演奏が流れていた。
練習の合間に、普段は寡黙な中川がこんな事を言い始めた。
「俺の知り合いが出るライブハウスのイベントに誘われているんだ。29日に。みんなも行かないか」
メグが続ける。
「ね、ね、みんなで行かない?」
どうやらこの二人の中では確定しているようだった。
「俺は別段構わないが、リクはどうする?」
「僕も特に用事は無いから大丈夫だよ」
「五十嵐は?」
「私も行けるよ~ん」
「なんだ、揃いも揃って年末に予定なしかよ。ここの部員は」
「それはミヒロもでしょうに」
五十嵐のツッコミが刺さる。
気になる事があるので、中川に聞いてみる。
「それでさ、その知り合いってどういう繋がりだ?」
「中学の時の吹部の先輩で。俺が1年の時に辞めたんだよ。バンドを組みたかったらしくて。今高3でバンドも組んでてライブハウスにも出てるんだ」
「へー、ライブハウスとか凄いね」
と、リクがつぶやく。
五十嵐も話しの輪に入る。
「中川さ。そのバンドはどんな曲やってるの」
確かにそこは知り得たい情報だ。
「オリジナルだよ。元はディープ・パープルのコピーバンドだったので、オリジナルもロック系。俺もライブハウスで2回聞いたけど、レベルは高いよ。見るだけでも勉強になると思う」
「オリジナルかぁ。いつかはそういうのやってみたいよな」
思わず俺の口に出た言葉だが、五十嵐がまた思いもよらぬ事を言い出す。
「いつかなんて言わないで、私たちもやろうよ。オリジナル」
おいおい、簡単に言ってくれるよな。
「とりあえず、その中川の知り合いのライブを見てからだな」
『なぁ、栞。オリジナルやってどう思う?』
『いいんじゃない。曲は中川君が作れると思うから、ミヒロは詩を書くとか』
『お前ってば、安易に言うなぁ』
『私、ミヒロの詩って興味あるなぁ』
そうだ。雑談に花が咲いた時はこの手だ。
「じゃあオリジナルはともかく、さっきの曲もう一度やるかー」
期末試験も終わり、クリスマスを目前に控えたある日の事。
その日も部室では、ビートルズの演奏が流れていた。
練習の合間に、普段は寡黙な中川がこんな事を言い始めた。
「俺の知り合いが出るライブハウスのイベントに誘われているんだ。29日に。みんなも行かないか」
メグが続ける。
「ね、ね、みんなで行かない?」
どうやらこの二人の中では確定しているようだった。
「俺は別段構わないが、リクはどうする?」
「僕も特に用事は無いから大丈夫だよ」
「五十嵐は?」
「私も行けるよ~ん」
「なんだ、揃いも揃って年末に予定なしかよ。ここの部員は」
「それはミヒロもでしょうに」
五十嵐のツッコミが刺さる。
気になる事があるので、中川に聞いてみる。
「それでさ、その知り合いってどういう繋がりだ?」
「中学の時の吹部の先輩で。俺が1年の時に辞めたんだよ。バンドを組みたかったらしくて。今高3でバンドも組んでてライブハウスにも出てるんだ」
「へー、ライブハウスとか凄いね」
と、リクがつぶやく。
五十嵐も話しの輪に入る。
「中川さ。そのバンドはどんな曲やってるの」
確かにそこは知り得たい情報だ。
「オリジナルだよ。元はディープ・パープルのコピーバンドだったので、オリジナルもロック系。俺もライブハウスで2回聞いたけど、レベルは高いよ。見るだけでも勉強になると思う」
「オリジナルかぁ。いつかはそういうのやってみたいよな」
思わず俺の口に出た言葉だが、五十嵐がまた思いもよらぬ事を言い出す。
「いつかなんて言わないで、私たちもやろうよ。オリジナル」
おいおい、簡単に言ってくれるよな。
「とりあえず、その中川の知り合いのライブを見てからだな」
『なぁ、栞。オリジナルやってどう思う?』
『いいんじゃない。曲は中川君が作れると思うから、ミヒロは詩を書くとか』
『お前ってば、安易に言うなぁ』
『私、ミヒロの詩って興味あるなぁ』
そうだ。雑談に花が咲いた時はこの手だ。
「じゃあオリジナルはともかく、さっきの曲もう一度やるかー」
