文化祭二日目。
教室に集まっているみんなはリハーサルも終え、後は本番のみとなっている。

『あの舞台に立つのよね』
『あぁ、何かこうドキドキするぜ』
『うふふ、武者震いかな』
『そうかもな』

栞とそんなやり取りをしているところに、委員長が前に出てきた。

「みなさん、今日は昨日と違い、舞台は大きいです。でも、今までと同じ気持ちで、力まずに歌って下さい」

『本当にこの文化祭を境に、このクラスは変わったな』
『それはミヒロもでしょう。きっとみんな感謝してると思うな』
『そうか?だったら嬉しいけどな』

委員長が声をあげる。

「あと30分です。これから講堂に向かいます」

俺は委員長を引き止める。

「ちょっと待ってくれ」
「三田君、どうかしましたか」
「あのさ、野球部みたいに円陣組んで、おー!ってやってみないか」
「君はやっぱり面白い人だ。みんなどうかな」
「やろうよ」
「いいじゃんか」
「意義なし」
「全然いいよ」
「面白そうね」

「お前ら……」

大田が声を掛けてくる。

「ミヒロ、泣くのは本番終わってからだぞ」
「分かってるって」

机を寄せなから、円陣を組んでいく。
号令は俺が出す事になった。

息を整え、拳を振り上げる。

「みんな、行くぞー!」
「おー!!!」