文化祭当日。
午前中に1度だけのステージ。
そこに、視聴覚教室には、自分達の想像をはるかに越える見物人が集まっていた。
と言うか、教室には入りきれない程の人だった。
そして、本番も一応の成功を収めたのだが、更に大きな舞台が用意された話しを聞いたのは少し後の事だった。
それは、翌日なら講堂を使えると言うものだった。
何でも、軽音部のあるバンドのボーカルの人が風邪を引いて、エントリーから外れたらしい。
俺達にすれば願ってもない話しだ。
それはそうと。
これも後から聞いた話しなのだが……
(あの指揮棒を振っている人が委員長なのか)
(草野に詰め寄ったってあいつだろ。度胸あるよな)
(ミヒロって言う名前らしいよ)
(変わった名前だな、どんな漢字を当てるのかな)
などと言った俺に関する噂が、まことしやかに飛び交っていたらしい。
これはどうしたもんだろう。
『ところでさ、明日は講堂だぞ』
『人、集まるといいね』
『そうだな。あんま有名人になるのもどうかとは思うが』
『そんな事言ってー。今日だってノリノリだったじゃん』
『あは、まぁな』
昼は時間を自由に使えるとあって、みんなそれぞれバラバラになった。
『さて、どこへ行こうかな』
『私、お化け屋敷がいい』
『あんなぁ、お前リアルに幽霊だからな』
『はて、そうだっけ?』
『とぼけるなー』
『あはは』
「ミヒロ〜」
後から声がする。メグだ。
「おう、文化祭楽しんでるか」
「もう、からかわないでよ」
「暇だったら、どこか模擬店でも行かないか。喫茶店、焼きそば、焼き鳥、たこ焼き、何でもアリだぜ」
「私、喉が乾いちゃったから、喫茶店がいいかな」
「よし、決まり」
ポケットから文化祭のビラを出して、喫茶店を探す。
「あ、あった。3年2組だ。どうやら中庭の一角でやってるみたいだ。行こう」
「うん」
そう言えば、今日は凄く天気がいい。
中庭を選んだのは正解だったな。
そして栞はいつもの笑顔。
やっぱ栞の笑顔はいいもんだ。
「ここだ。座ろう」
「私、コーラね」
「俺はオレンジジュースだな」
しばらく後に、ウエイトレスコスの、これまた凄い美女が現れた。
おそらく俺は馬鹿みたいに口を開けて、ぼーっとしていたに違いない。
栞とメグの顔を見れば分かる。
「ア……アイスコーヒーと……オレンジ……ジュースで」
コクっと喉をならすメグ。
いーだ、と言わんがばかりの栞。
こういう時は。
そうだ、話しを逸らそう。
「あのさ、メグと二人で喫茶店に行ったの、覚えてる?」
「あ、中学の時ね。覚えてるよ」
「ちょうど今くらいの時期だったよね」
「そうそう。でもさ」
「何?」
「ミヒロはどんどん背が高くなっていくのに、私全然伸びなくて」
「しっかし、あれから一年かぁ。早いもんだ」
ウエイターが注文の飲み物を持ってきた。
「お待たせしま……」
「あー!」「あー!」『あー!』
俺、メグ、栞の(3人)が一斉に声をあげた。
「な、なんで」
メグがポツリとつぶやく。
「う、うん。私は2組の担任で少し手伝っているだけだ」
ウエイターがグラスを置き、その場から離れた後、暫く時間を置いて(3人)はよじれるくらい、笑い転げた。
「あ、あの草野がエプロン姿で出てくるとは」
「ひー、ミヒロ、もう言わないで」
メガネを直す、草野の真似をして。
「フッ、こういうところが風紀の乱れの原因なんだ」
「クックックッ、お願いもうやめて」
「それにしてもだ。文化祭は要らないとか言ってるくせに、ちゃんと手伝ってるし」
「分かんないね、草野」
『ってかさ、さっきからずっと笑いっぱなしだぞ、栞』
『だってさ、だってさ』
ダメだ、こいつは
「で、どうする。他にどこか行くか?」
「そうね。あれ、大田じゃん」
「ホントだ。あいつ、何してんだろ」
「とりあえず大田のところに行こう」
「そうだな」
代金を支払い、大田に声をかける。
「よお」
「おう」
「収穫はどうなんだ」
「けっ。そんなにいい女などいねーよ」
「そこの3年2組の喫茶店。それはすっごい美人さんが居るぞ」
「マジか」
「ただし、そこの担任は草野で、ウエイターやってるぞ」
中の様子が気になる大田。
暫くして、どっと笑い始める。
「お、おい。気づかれるって。ダメだ、今俺目が合ったって。おい、逃げるぞ!」
俺達は走った。
目的も無く、ただ走った。
不思議と俺は、言葉には表せない気持ち良さを感じていた。
そして、たどり着いたその場所は、講堂だった。
「ちょっと見ていくか」
午前中に1度だけのステージ。
そこに、視聴覚教室には、自分達の想像をはるかに越える見物人が集まっていた。
と言うか、教室には入りきれない程の人だった。
そして、本番も一応の成功を収めたのだが、更に大きな舞台が用意された話しを聞いたのは少し後の事だった。
それは、翌日なら講堂を使えると言うものだった。
何でも、軽音部のあるバンドのボーカルの人が風邪を引いて、エントリーから外れたらしい。
俺達にすれば願ってもない話しだ。
それはそうと。
これも後から聞いた話しなのだが……
(あの指揮棒を振っている人が委員長なのか)
(草野に詰め寄ったってあいつだろ。度胸あるよな)
(ミヒロって言う名前らしいよ)
(変わった名前だな、どんな漢字を当てるのかな)
などと言った俺に関する噂が、まことしやかに飛び交っていたらしい。
これはどうしたもんだろう。
『ところでさ、明日は講堂だぞ』
『人、集まるといいね』
『そうだな。あんま有名人になるのもどうかとは思うが』
『そんな事言ってー。今日だってノリノリだったじゃん』
『あは、まぁな』
昼は時間を自由に使えるとあって、みんなそれぞれバラバラになった。
『さて、どこへ行こうかな』
『私、お化け屋敷がいい』
『あんなぁ、お前リアルに幽霊だからな』
『はて、そうだっけ?』
『とぼけるなー』
『あはは』
「ミヒロ〜」
後から声がする。メグだ。
「おう、文化祭楽しんでるか」
「もう、からかわないでよ」
「暇だったら、どこか模擬店でも行かないか。喫茶店、焼きそば、焼き鳥、たこ焼き、何でもアリだぜ」
「私、喉が乾いちゃったから、喫茶店がいいかな」
「よし、決まり」
ポケットから文化祭のビラを出して、喫茶店を探す。
「あ、あった。3年2組だ。どうやら中庭の一角でやってるみたいだ。行こう」
「うん」
そう言えば、今日は凄く天気がいい。
中庭を選んだのは正解だったな。
そして栞はいつもの笑顔。
やっぱ栞の笑顔はいいもんだ。
「ここだ。座ろう」
「私、コーラね」
「俺はオレンジジュースだな」
しばらく後に、ウエイトレスコスの、これまた凄い美女が現れた。
おそらく俺は馬鹿みたいに口を開けて、ぼーっとしていたに違いない。
栞とメグの顔を見れば分かる。
「ア……アイスコーヒーと……オレンジ……ジュースで」
コクっと喉をならすメグ。
いーだ、と言わんがばかりの栞。
こういう時は。
そうだ、話しを逸らそう。
「あのさ、メグと二人で喫茶店に行ったの、覚えてる?」
「あ、中学の時ね。覚えてるよ」
「ちょうど今くらいの時期だったよね」
「そうそう。でもさ」
「何?」
「ミヒロはどんどん背が高くなっていくのに、私全然伸びなくて」
「しっかし、あれから一年かぁ。早いもんだ」
ウエイターが注文の飲み物を持ってきた。
「お待たせしま……」
「あー!」「あー!」『あー!』
俺、メグ、栞の(3人)が一斉に声をあげた。
「な、なんで」
メグがポツリとつぶやく。
「う、うん。私は2組の担任で少し手伝っているだけだ」
ウエイターがグラスを置き、その場から離れた後、暫く時間を置いて(3人)はよじれるくらい、笑い転げた。
「あ、あの草野がエプロン姿で出てくるとは」
「ひー、ミヒロ、もう言わないで」
メガネを直す、草野の真似をして。
「フッ、こういうところが風紀の乱れの原因なんだ」
「クックックッ、お願いもうやめて」
「それにしてもだ。文化祭は要らないとか言ってるくせに、ちゃんと手伝ってるし」
「分かんないね、草野」
『ってかさ、さっきからずっと笑いっぱなしだぞ、栞』
『だってさ、だってさ』
ダメだ、こいつは
「で、どうする。他にどこか行くか?」
「そうね。あれ、大田じゃん」
「ホントだ。あいつ、何してんだろ」
「とりあえず大田のところに行こう」
「そうだな」
代金を支払い、大田に声をかける。
「よお」
「おう」
「収穫はどうなんだ」
「けっ。そんなにいい女などいねーよ」
「そこの3年2組の喫茶店。それはすっごい美人さんが居るぞ」
「マジか」
「ただし、そこの担任は草野で、ウエイターやってるぞ」
中の様子が気になる大田。
暫くして、どっと笑い始める。
「お、おい。気づかれるって。ダメだ、今俺目が合ったって。おい、逃げるぞ!」
俺達は走った。
目的も無く、ただ走った。
不思議と俺は、言葉には表せない気持ち良さを感じていた。
そして、たどり着いたその場所は、講堂だった。
「ちょっと見ていくか」
