指揮というのは、やった事がある人なら分かると思うが、やってみると以外に面白い。
調子に乗ってくると、オーバーリアクションになったりして。
それでビシッと決まったりすると、これがまた気持ちいいんだ。
そう、俺はすっかりハマっていた。

「今の良かったね」

メグが声をかける。

「あぁ、俺も気持ち良かったぜ」

委員長が手を上げる。

「じゃ、最後にもう一度」
「おうよ」


練習が終わり、俺と栞は家路に向かっていた。

『お疲れ様でした』
『あぁ、でも楽しかったぜ』
『うん、指揮しているミヒロは、凄く生き生きしてるよ』
『そうかもな』
『栞はさ、好きな音楽とかあった?』
『うーん、私はミーハーだったから、アイドルばっかりだったよ』
『じゃあ、俺と大して変わんないな』
『ホントだね。あ、これからちょっと寄り道してくれないかな』
『うん、どこだ』
『今日は何の日だ?』
『分からん、サッパリ分からん』
『じゃあ、ヒント。私の好きな物ってなーんだ』
『栞の好きなものかぁ、何だろ』
『5.4.3.2.1.ブー』
『お前クイズ番組好きだろ』
『本屋さんに寄って』
『あ、(花と虹)だ今日発売日だっけ』
『そう。覚えてないの?』
『すまん、全然覚えていない』
『それじゃ、今から本屋さんにレッツゴー!』

お前、本当に幽霊か?
そう疑うのも無理は無かろう。