「文。おい。ひなちゃん来てる。」



「…ほんとだ。ちょっと行ってくる」




「いや、待て。隣にいるやつ誰だ?」





「…行ってくる」







「はぁ。(あーあ、まんまと引っ掛かっちゃって…)」






文はひなに駆け寄る





「あ、文さんだ。」



驚いたような顔をするひな。



「ひな。どうしたの?」





「あー。えっと、道案内してたんだけど、よくわからなくなったんでひとまず文さんのとこにと思って」




「…そう。」





(頼ってくれてるのはうれしいのになんかモヤモヤする)





「すみません。方向音痴で声かけたんです。彼氏さんですか?」





「…はい」




「あ、もう俺大丈夫なんで。失礼しましたー」






「え!大丈夫ですか?!」





「大丈夫大丈夫。別の人に聞くよ。ありがとねー」




フレンドリーな男は手を振りながらその場を立ち去る



2人の間に気まずい空気が流れる




「文さんもなんかすいません。」





「…いや。」





「今日、なんか格好違いますね。メガネかけてるし、ジャケット羽織ってるし。」





「あー…これは、たまにはピシッとしろって言われて仕方なくだよ。」





「いつもより若く見えます!清潔感がありますね」




「…いつもTシャツに短パンだからね。」






「まさにギャップですね。かっこいいです。」




「、…うん。」





「…文さん耳赤いですよ」





「ちょっと黙ろうか」