人通りの少ない夜道を通り駅を目指す




(いつ言おう…。)




「…」



「…。」




「…学校大変じゃない?」





「え、? いや、大丈夫ですよ。練習も来てますし」



ひなはガッツポーズをしてみせる


「…そっか。 うん。」



文さんが微笑む



「…あの、、」




「ん?」




文さんがこっちを見てるのがなんとなくわかる





(言うなら今しかない、、!ごめんなさい文さん。)




「あの。私、他に好きな人できちゃって。」





「…。」




「それで、、、え、文さん?」




隣の文さんが動かなくなった。


ひなは驚いて文の前に立ち顔色を見ようとする



「ちょ、顔押さえないでくださいよ!何も見えないんですけどっ」


文はひなの目元を両手で覆った



「…ほんとなの?大学の人?」



「え。いや。違います。ていうか、女子大だし」




「…じゃあ誰?ジムの人?」




「…あの、文さん」


ひなからは文がどんな表情をしているのかわからない


(なんとなく怒ってる、、?)







「俺が悪かったんだよね。いまだに下の名前で呼べないし、デートもできなくて。うん。ごめん。」




(確かにひなってよばれたことない。気にしてたんだ。文さん。)




「いや、あの、」




「ごめん。駅まで送るよ」



「…文さん。怒ってるんですか?」




「…怒ってない。」





「うそです。さっき言ったのはうそですから」



ひなはにっこりと笑って言った



文はパッとひなの目元に置いていた両手を離す

ひなの視界に驚く文の顔が映る


「…。」




「怒ってます?」


いたずらにひなは聞く


悔しそうな、苦そうな顔をする文。



「…。」





「ごめんなさい。文さんを試すようなことして。」







「…なんか、俺も反省したよ。今まで恋人らしいことしてなかったなって。」



はぁ。と文が息をこぼす



「じゃあ、まずはひなって呼んでもらっていいですか?」











「…ひな。」




「はい!文さん好きです。」




「俺もひなのことが好き。」





「…。」





「…ひな、顔赤いよ」




「み、見ないでくださいっ。」


ひなは自分の両手で顔を覆い隠す



まさか文の口からそんな言葉が聞けるとは、とひなは内心ドキドキしてしまう




(文さんがものすごくかっこよくみえる!)






「…手つないでいい?」




「はい。」





「うん。手小さいね」




「女の子なんで。」








【たまには恋人らしく。】