斉藤さんも自分の分のコーヒーをテーブルに置いて地べたに座った。


「あの、つかぬことをお伺いしますが」
「はい?」
「斉藤さんって、本当にモデルさんなんですよね?」
「はい」


斉藤さんはゆっくりとした上品な動作でコーヒーを口に運んだ。
その姿はやはり、惚れ惚れするほど様になっている。


「あそこに山積みにされてるのはポテチに見えるんですが見間違いでしょうか」
「いえポテチですね」


なんとさらりとした返事だろう。


「斉藤さんがお一人で召し上がるんですか?」
「勿論です。ポテチが食べたいんですか?一袋開けます?」
「いえ結構です。良いんですかモデルさんがそんな食生活で」


そのポテチの山はざっと見て、十袋は軽く越えている。


「良いんですかと言われても……大丈夫なんじゃないですかね、実際続けてられてるんだし」


その言い方は不思議と嫌味っぽくはなくて、私はただひたすら、この人ポテチ食うのか……と思うだけ。

それももしかしたらイケメンパワーなのかもしれない。


「羨ましいです」


ポテチに突っ込んだところでようやくココアを一口。程よく甘くて、口一杯に広がった。