「そうか仲直りできたかー!偉いなー!」


今日の晩御飯は秋刀魚。秋だから。


食卓で、仲直り報告を受けた修一さんが隼人を機嫌良く褒めて、隼人は「えへへ」と嬉しそうに笑った。



「ねえねえパパ」


沙紀が白ご飯を口に運びながら修一さんを見た。


「パパはママ以外の女の人とチューしたことある?」
「あるよ」


女心の分かっていない修一さんはいつものトーンでニコニコしたままさらりと答え、その返答に沙紀はお箸を落として固まった。


「え、なに」
「パパ最っ低!」
「えっ……!」


パニックに陥った修一さんは「え、え?なんで!?」と狼狽えて救いを求めるように私を見てくる。……馬鹿だ。


「もう絶交だから!ごちそうさま!」


勢い良く椅子を降りると修一さんに向かってあっかんべーをして、子供部屋に走っていってしまった沙紀。

修一さんの方から、ガーン、って、リアルに音が聞こえた気がした。


「あーあ、まああんま気にすんなよ」
「う、うん……」


恋をしたばかりでごきげんな隼人に慰められている、生気を失ったかのような修一さんの図に、思わず吹き出しそうになる。

まあ溺愛してる娘から「最っ低!」と「絶交」のダブルパンチはきついよね。