「じゃ、じゃあ帰ってからね……」
「今」
「今!?」


だんだん斎藤さんの頬が染まっていく。
多分私も同じ。


「でもここ、学校だし……」
「だから人気のないとこ来たんじゃないですか。嫌なんですか?」
「そ、りゃ、嫌なわけないですけど」
「早く。頼んでるこっちは斎藤さんの百倍恥ずかしいんですよ」


斎藤さんが私に目線を合わせて、屈む。

顔が近付いてきて、私もそっと目を閉じた。


キスするとき斎藤さんが私の肩を抱くその仕草が、たまらなく好きだ。



「なんか校内でシンデレラドレスの女子高生にキスして、すごく悪いことをしてるような……」


唇を離した斎藤さんは、呟いた。


「それは斎藤さんがやらしいからそう思うんですよ」
「えっ。……でもそれは、核心突いた言葉かも」
「さっ、じゃあまわりましょうかお店!まずは1Bのお化け屋敷!」


斎藤さんから離れて、歩みを進めようとすると「えっ、もう終わりですか?」と、斎藤さんが丸い目で私を見た。


「はい。行きましょ!」


再び歩き出そうとした私の手を、斎藤さんがパシッと掴んだ。


そして、力強く私を自分の胸の中に抱き寄せて。
私は斎藤さんに後ろから抱き締められているかたちで。