「こんばんはー」


前原さんと智輝は仲良く手を繋いでいた。
そんな姿を見て、まだたったの四歳の智輝にジェラシーを感じる自分はおかしいだろうか。


「おお智輝……お父さんはもう駄目だ……家までおんぶしてくれ……」
「お母さんに電話しようか?」
「それは駄目だ!起きます!」


兄ちゃんの奥さんはなかなかの恐妻で、こんな酔い潰れた姿を見せようものなら、しかも迎えに来させようものなら、こってり絞られる。

それが分かってる兄ちゃんは気合いで起き上がった。


「智輝何して遊んだのー?」
「なんかー、いっぱい並べていくやつ!俺あれ得意!」


並べていくやつ?と、俺と兄ちゃんがハテナマークを浮かべていると前原さんが、「ドミノです」と教えてくれた。

ああ、なるほど。


「智輝くん集中力がすごいんですね。いっぱい並べていってました」
「へえ、智輝が。良かったな智輝!集中力あると人生捗るぞー」
「そうなの?へへー」


智輝は兄ちゃんに頭を撫でられて誇らしげにしていた。


「前原さん本当にありがとうございました。ほら智輝もお礼言って」


兄ちゃんが智輝に礼を促す。

智輝は少し照れくさそうに前原さんに向き直した。
こういうところは子供らしくて可愛い。


「お姉ちゃんありがと」


前原さんも嬉しそうにしゃがんで「どういたしまして」と智輝の頭を撫でる。


「あのねお姉ちゃん」
「ん?」
「俺が大きくなったら、俺と結婚してくれる?」


おっとちょっと待とうか。