「わあああ何やってる馬鹿俺もまだ触ってねえんだぞ!」


思わず妙なことを叫びながら前原さんから智輝を引き剥がした。


「だって俺大きいのが好きだし、このお姉ちゃんのが好きなんだもん」
「いやそれは俺も思ってたけど……じゃなくて!だからって触って良い訳じゃねぇんだよ理性ってもんを持て!」
「りせー?」


俺が慣れない説教を必死にかましてる間、さすがの兄ちゃんも青ざめた顔をして本気で前原さんに頭を下げていた。

いや俺としてはお前のしようとしてたこともなかなかだぞ。


「謝りなさい智輝!」


智輝は兄ちゃんに手を引かれて前原さんの元に立たされた。


「えー?俺そんな悪いことしたー?」


尚も自分のしたことの大きさが分かってないのか、そんなことをぬかす智輝に、兄ちゃんのゲンコツが飛びかけたとき。


「貴様~」


ガッと、前原さんが智輝の両頬を持ってこねくり始めた。


「あと十歳年取ってたら普通に警察に行ってあんた大変なことになるんだから~」
「うぁい……」
「おっぱい触りたいならね!まず自己紹介!で、その子をちゃんと好きになる!で、その子にも自分のこと好きになってもらって、且つおっぱい触って良いよって許可を貰うの!それでようやく触れるの、そんな簡単なもんじゃないのおっぱいは!」


前原さんがおっぱい連呼してる……。
何故か俺が顔が赤くなってくる。


「あと私がおっぱい触って良いって許可を出すのはね!この人だけ!分かったら私のおっぱいは諦めな!」


そうビシッと指差された。

普段なら何があっても言ってもらえない台詞だけど、前原さんは目の前の無礼な少年への教育に燃えていて、そんなことには気付いてない。


「良かったなお前……」
「う、うん」


俺と兄ちゃんは迫力満点の前原さんを目にして、いつの間にか正座してしまっていた。