「おっす修一!」


ある日曜日のお昼。突然の訪問者。


「……兄ちゃん」
「おう久しぶり」


ひとつ上の実の兄。隆文兄ちゃん。


「よっ、修一!」


とその息子、智輝。
四歳のくせに兄に似てるからくそ生意気で、俺のことを修一と呼び捨てにする。


二人は部屋に上がるなりソファにどかっと座った。
俺も二人の側の床に座り込む。


「何だよ急に」
「暇だから遊びに来たー、なんだその嫌っそうな顔は」


嫌だろ。


「連絡してからにしてくんない」
「てかお前なんか若返ったんじゃねえの?何?恋してる?わけないわな!」
「……」


若返ったっていうのは確かに最近よく言われる。
撮影現場でスタッフの方とか、モデル仲間からも。
それで最近仕事も増えたくらいだ。

……前原さんと、付き合ってからだ。


「彼女が、できた。からかもしれない」


俯きながら小さく答えた。


「まじか!何年ぶりかにお前にも春が来たか!」
「はは……」


何年ぶりかって言うほど長い間枯れてないわ。と思いかけたけど、そういえば実際何年ぶりか、だった。


「で、どんな子?」
「隣に住んでる。前原さんって子」
「お隣さんか!何歳?」
「……十七歳、高校二年生」


答えると、兄ちゃんの顔が固まった。
そんな父親の顔を見て智輝が「何?やばいのそれ?お父さん」と、子供らしい遠慮のない質問。