④
「斎藤さん、DVD借りてきました」
「またですか」
「大丈夫今回は映画ですから」
そう言って見せられたDVDは、数年前話題になったホラー映画。
自分の携帯に自分の名前から着信が来て、それを受けると死ぬ。という例のあれ。
「なんも大丈夫じゃないんですけど……」
「あ、斎藤さん始まる前にトイレ行ってきた方が良いんじゃないですか?」
「そうします」
前回みたいに前原さんにトイレに着いてきてもらうという失態は俺も侵したくないので素直にトイレを済ましておくことにする。
本当はそのDVDを見ないで済むのが一番ありがたい。
トイレを済ませて二時間きっちり映画を見終えて、二人で暫く黙り込んだ。ホラー映画のあとって、本当に何も話すことがなくなる。
そのとき、スマホが震えた。
そして、例のあのメロディーが鳴り始めた。
そんなまさか、と思ったけど、そのメロディーはどう考えても俺のスマホから鳴っていて。
前原さんも恐怖で震えた目で俺を見ていた。
恐る恐る、スマホを手に取る。
──〝斉藤修一〟
その文字を見た瞬間、叫んだ。

