自分がこうもあっさり恋に落ちてしまうなんて思っても見なかった。 うわあ。な、何話したらいいんだろうか。 「おい、ここじゃ冷えるし。どこか飲み屋でも行くか?」 すっかり赤みが引いた強面がわたしを見つめる。 混乱中の私に思いもよらないお誘い。 こ、ここは一歩踏み出すべきよ、鈴菜! あ、でも…。 「…でも、お金ありません…」 缶チューハイを買った500円が今日の持ち金のすべてでした。