翌日、別に俺も田嶋さんもわざわざ自分からは言わなかったけれど、それでも何故か、俺と田嶋さんの破局の噂はじわじわと広がっていく。
日野ちゃんは田嶋さんから直接聞いたのかそうでないのか、わりと早く俺に尋ねにきた。
「日野くん」
教室の中での、相変わらずの呼び方。
俺としてはもう日野雄大って呼べよ、と思っていた。
「ひかりと別れたの?」
「うん」
なに勝手に別れてんだよ。その目が言っている。
「なんで?」
「なんでか知りたい?」
さっさと理由言えや殺すぞ。その目が……いや、そこまでは言ってないかもしれない。
「じゃあ昼休みに教えてあげるよ。あのベンチに来たら」
そう言うと、日野ちゃんは戸惑いながら、それでも俺を睨み付けた。
あの日以来日野ちゃんはあそこに来なくなってしまった。
たしかに親友の彼氏とコソコソ会うのも嫌だよな、と言い聞かせてはいたが、それでも寂しかった。
俺は日野ちゃんが来なくても昼休みは毎日、あそこに座っていた。
田嶋さんはというと、まだ日野ちゃんに勝負を挑めていないらしかった。
尋ねると、
「日野くんが告白して雪那が断って、そのタイミングで私は雪那に勝負を挑むから」
……と。
とりあえず俺が振られることは前提らしい。

