日野雄大はクラスで一番性格が悪い



恐る恐る顔を上げて田嶋さんの表情を確認すると、田嶋さんはたしかに悲しそうではあったけど、それでも笑顔だった。

差し出されていた手が、引っ込められる。

まるで田嶋さんは、俺が断るかもしれないと、最初から分かっていて誘ったようだった。


「日野くん、嘘がつけないんだね」


日野ちゃんとはまるで正反対の評価を貰った。

だけどたしかに俺は今、嘘がつけなかった。


田嶋さんはよく、俺に尋ねた。
私のこと、ちゃんと好き?と。

その度俺は、肯定した。

いつものように嘘がつけたら良かったのかもしれないけど、できなかった。


「……雪那が好きなんでしょ」


いつから知っていたのだろう。

俺は驚きすぎて、咄嗟に返事が出てこない。


「詳しいことは知らないけど、二人が不思議な関係で、妙に関わり合ってることは知ってた。というか、気付いてた」
「……」
「おおかた、日野くんが私と付き合ったのも、雪那に言われたから。ってとこでしょ」


正にその通りだった。

そんなつもりは決してなかったけど、どうやら俺は田嶋さんをなめてかかっていたらしい。


「私、結構鋭い女なの」


そう言った田嶋さんは、クスクスと笑っていた。