……どきっとした。
だけどそれは決して緊張とかいう、甘酸っぱいものではなかった。
どうしよう。といった、迷いや不安。
本当につくづく、最低な男だ。
俺はいまだに、田嶋さんの手ひとつ握ってやれなかった。
そんなに純粋な男でもないのに、寧ろその反対だというのに。
田嶋さんは手を差し出したまま、俺に微笑みかけている。
その微笑みはというと、とても穏やかで、でもどこか不安定でゆらゆらしている。
……それはきっと、俺がこの手を握らなければ、消えてしまうからだろう。
この微笑みは、俺の行動一つで、悲しみの表情になってしまうからだ。
俺は、それを分かっているのに。
「……ごめん」
田嶋さんの微笑みを壊す方を選択した。
「手、繋げない」

