田嶋さんは、素直で可愛い。
し、一緒にいて、話していて普通に楽しい。
優しいし、バスケを頑張る姿も魅力的だ。
何より、俺のことをとても好いてくれている。
こんな彼女が居るのはとても幸せなことのはずなのに、どうしてか俺は、俺は。
……俺の中から日野ちゃんの存在が消え去ることはなかった。
俺はただ席が近いだけの、今となっては大した関わりもない、ただのクラスメートの存在を、自分の心の中から消せずにいた。
……消す気もないのかもしれないな。俺は。
「日野くん、あとちょっとで駅着いちゃう」
「そうだね」
喫茶店を出て日も傾きかけた頃、駅までの道のりで、田嶋さんは俺の隣を歩いていた足を止めた。
俺も立ち止まって、田嶋さんを見つめる。
「手、繋ごう」
そう言って差し出された田嶋さんの手を見下ろす。

