俺の言葉を遮る田嶋さんは、結構頑固なタイプなんだろう。

この頑固さ、誰かに似てるな。と、思った。
……ああ、日野ちゃんだ。


俺はとことん駄目なやつらしい。
こんなときにまで、初デートで彼女がにこにこしているときにまで、他の女のことを考える。


「……日野くん?」


俺の顔を覗き込む田嶋さん。

またぼんやりしていた。

視線を再び合わせた俺に、田嶋さんが微笑む。


「絶対しようね!」


それは、約束できなかった。


「……そのうちね」


不満そうに俺を見つめる田嶋さんから目線を外して、一口紅茶を飲んだ。