「でね、二年生の春、初めてその先生にプレーを誉められたの!」
「……」
「日野くん聞いてる?」
「聞いてる聞いてる」
「それからは更に部活が楽しくなってバスケが好きになったの」
「そっか」


俺は目の前の彼女に緩やかな微笑みを見せた。


田嶋さんと付き合いはじめて一ヶ月と少し。
今日は今更ながら初めてのデートだ。

映画を見終えて入ってきた喫茶店で、嬉しそうに中学の頃の話を俺に語る。

田嶋さんは、バスケが大好きらしい。


「日野くんって運動神経良いんだよね」
「別に普通だよ」
「謙虚だなあ。ねっ、今度バスケ勝負しようか!」
「え?」
「お互いガチで!」


そして田嶋さんは意外にも熱いタイプらしい。


「……それはいくらなんでも俺が勝つよ」
「日野くん私のこと舐めてるでしょ!」
「別にそんなことないって。でもまず体力とか筋力だって全然違」
「いやいやバスケは私が勝つってば!」