「だったら、見せてあげる」


そう言ってさっきまで自分が座っていたところに食べかけのカップアイスを置く。

俺が返事できずに見つめていると、日野ちゃんは正面の道路に向かって歩き出す。

白いガードレールを跨いで。


……俺はそれを見ながら、胸騒ぎがした。




日野ちゃんが走り出した。


「お兄ちゃんは居るもん!私を助けてくれるもん!」


道路の真ん中でそう叫ぶ日野ちゃんに向かって一台の車が走ってくる。


「おい!」



──何も考えられなかった。

ただ真っ白な頭の中で。
止まってくれ……!ただそれだけ願って、必死に走った。