一階のリビングに通され、俺はソファに座った。
日野ちゃんのお母さんは冷蔵庫から麦茶を出して、透明のコップに入れている。
そしてそれから、俺の前のテーブルの上に置いてくれた。
「ありがとうございます」
日野ちゃんのお母さんも、テーブルを挟んだ俺の正面に座った。
「颯太が……何歳かって話よね」
遠くを見つめてポツリと呟いた声に、小さく頷く。
颯太さんというのか、日野ちゃんのお兄ちゃんは。今更ながら、初めて知ったことだった。
「……十一歳よ」
十一歳。小学五年生だ。日野ちゃんの言っていた通り。
だから、きっと。
「雪那とは五個違いだから、二十一歳ってことになるわね。……もし、生きていたら」
やっぱり、と思った。
思ったのに、冷静にはなれなくて。
なんだか言い様のない感情がやって来る。

