〝……小五〟。
そう、たしかに日野ちゃんはあの日、相変わらず少しの間を開けてから、言っていた。
冗談だと思っていた。
そうとしか思ってなかった。
だから余計、わけが分からなくなる。
……なんで高校生である日野ちゃんの、お兄ちゃんの部屋に。ランドセルなんかあるんだ。
それ以外にも何か、とてつもない違和感を感じる。
何だ何だと頭を回す。そして、気付いた。
──異常な程、生活感がない。
家具は揃っている。
それなのに、人がそこで実際住んでいるだろうという気配を、全く感じないんだ。
なんだか、こわくなった。
だから暫く気が付かなかった。
日野ちゃんのお母さんが、そんな俺を見ていたことに。