ゴールデンウィークも明け、少しずつ高校生活にも慣れ始めた頃。


昼休み、私は一人で食堂の自販機にお茶を買いにきていた。

自販機の中に落ちてきた緑茶を取り出して教室に戻ろうとした、そのとき。


「にゃーん」


……可愛らしい鳴き声が聞こえて、胸が弾む。


猫だ!と思って声のした方、裏庭に出た。

走っていって、先程居た食堂の裏側に白い猫を発見。


「可愛い……!」


すっかり心を奪われ、そこに座り込んで猫の頭をひたすら撫でていた。ら。



──「これ、受け取ってください!」


奥の方で本当に突然聞こえたそんな声に、思わずギクリと肩が揺れた。