私に味方が一人も居ない状態で、お望み通り家に上がり込むことになった日野雄大。
私の部屋に入るとき、向かいの部屋の扉をちらっと気にしていたけれど、そこには触れなかった。
……あの部屋は、お兄ちゃんの部屋だ。
「すごい綺麗な部屋だな」
「私綺麗好きなもんでね」
「うん、そんな感じする」
「……そうじゃないでしょ?何なの?最初から家に上がり込むつもりだったの?」
椅子に座って睨み付ける私を、日野雄大は暫く見下ろす。
見下ろしてから、私のベッドに遠慮なく座った。
「日野ちゃん鋭い!やっぱバレたか」
「ベッドじゃなくて床に座れ」
顎をクイッと動かすと日野雄大も素直に移動して。床で胡座をかいているのを見下ろす。
「やっぱ見下ろす方がいいわ」
「……日野ちゃんSだな本当」
「何が目的?」
「……日野ちゃん脚綺麗だな」
「話そらすなっての」
日野雄大の目線の高さには、ちょうど椅子に座っている私の脚が。短めのワンピースを引っ張って太股を隠す。
そのとき、コンコンとノックの音がしてから扉が開いた。
「はいお待たせー。ショートケーキです!」
ショートケーキが部屋の真ん中のテーブルに置かれたので、私も椅子から降りた。

