……こうやってバニラ味のアイスを頬張っているところとか、本性のままでもたまに見せる笑顔とかを見ていると。

たまに忘れる。こいつの性格の悪さ。

たまに、この二人の時間を穏やかで落ち着くって、思ってしまうときがある。


日野雄大の左耳の透ピを見つめた。

……誰が想像するだろうか。

この白くて綺麗な肌で、世の中の汚れなんか何も知らないような、完璧な優等生が。
本当はピアスして煙草も吸うような、不良だなんて。


「日野雄大って、不良だよね」
「あ?」


ギロリと睨み付けるような視線を向けてくる。忘れてもらっちゃ困る、あんたは私の奴隷だって。


「これとか」


日野雄大の左耳に触れた。


「ピアス?別にこれは不良じゃないだろ」
「人間にピアスが必要ならね、元々穴が空いてるはずなの。耳に」
「んな屁理屈……」
「あと煙草だって」
「それは今禁煙中だし」


そう言って日野雄大はポケットの中から取り出した飴を私に見せつける。禁煙飴だ。

その得意気な顔がむかつく。