二ヶ月前の入学式。

憧れの星ヶ丘高校の制服に身を包み、講堂の椅子に座る私に一番に声を掛けたのは彼だった。


「ねえねえ」


トントンと肩を叩かれ隣を向けば。


「日野ちゃんだよね?俺も日野なんだ。一緒だね!」


席に座る前に配られた名簿の〝日野雪那〟の部分を指差す彼は、爽やかに微笑んだ。


こんなに綺麗な顔した人、初めて見た。
それが第一印象。

格好いいなあって思うより前に、ぽーっと彼に見とれていた。


「俺、日野雄大。よろしく日野ちゃん!」


再び先程の名簿に目をやると、私の名前の一つ上に〝日野雄大〟の文字。

……日野ちゃん、だって。その呼び方がなんだかくすぐったかった。


その後新入生代表の挨拶のときに席を立ち壇上でしっかりと話す姿を見て、こんなに完璧な人間が居て良いのかと思った。



日野くんの第一印象は決して悪くなかった。
というか寧ろ最高レベルだった。


それが何故今のような状態になったのか。

私が日野くんの本性を知ったのは、それから一ヶ月程経った頃のことだった。