どうしようもなくて、思わず項垂れる。
「まあそう落ち込まないで」
そう言って俺の肩にぽんと手を置く日野ちゃんの胸は、不自然な形に膨らんでいる。
取り返すとすれば俺は、日野ちゃんのリボンをほどいてボタンを外して、ブラジャーの中に手を突っ込まなければいけない状況。
決して嫌じゃないけど、それこそまた俺の弱味を握られてしまって、解決にならない。
……これはいくら俺でも取りようがない。
「是非奴隷にさせて下さい」
「素直でよろしい」
最悪だ。なんて変なやつに引っ掛かってしまったんだ俺は。
性格糞悪いよね。昨日言われた言葉。
たしかに俺は性格悪いよ。猫被ってるよ。もう認めるよそれは。
でも、どっからどう考えても、日野ちゃんよりましだろう。
そう言ってやりたかったけど、言えるわけもなく。
「じゃあまあ取り敢えず」
俯く俺の手から日野ちゃんは煙草を奪う。
「煙草は禁止ね?」

