日野ちゃんの手から、俺の喫煙ムービーを入れられてしまったスマホを奪おうとする、が。
「おーっと」
残念ながら、さっと交わされる。
また手を伸ばすより前に、日野ちゃんは赤いリボンを取ってから自らのカッターシャツのボタンをガバッと開けた。
なんだなんだ。
突然はだけた胸元に、健全な男子高校生であるにも拘わらずドキドキする余裕もなく、ただぎょっとしていると。
……日野ちゃんは、自分のブラジャーの中にスマホを閉まった。
「今ここからスマホとったら、大声出すからね?」
してやったり、の表情。
日野ちゃん、俺の性格にどうこう文句言ってたけど、人のこと言えないんじゃねぇか。
しれっとそのままカッターシャツのボタンを閉めていく日野ちゃんを見て、思う。
全部のボタンを閉め終わると、きっちりリボンまで綺麗につけた。

