「私、日野雄大を許せないっていうのは、今も変わってない」
唐突なその言葉に、日野雄大はとくに驚いた様子も見せない。ただ黙って私を見つめるだけ。
お父さんを轢いたのは日野雄大のお父さんであって、日野雄大ではない。
そんなことは分かってる。私もお母さんも。
だけどそうやって割りきって考えられないから辛いんだ。
「今でも、世界で一番憎いって思う」
同じくらい日野雄大のお父さんもお母さんも嫌い。
だけど日野雄大は。
同時に。
「だけど、世界で一番好き」
好き。
結局別れてからは言えていなかった言葉。
日野雄大は一ミリも私から目を離さない。
私も日野雄大から決して視線を離さない。
昨日あれから、ゆっくり一人で考えてみた。
私の気持ち。私は一体どうしたいのか。どうなりたいのか。
──やっぱり今の私たちは、恋人同士にはなれない。
お母さんや、お父さんやお兄ちゃんに対する申し訳なさを一切排除してもだ。
これは私の気持ちが原因。
私だって日野雄大を恨んでいるから。

