日野雄大はクラスで一番性格が悪い



うまく返事ができなかった。
うん、としか言えなかった。


「……死ねない、か」


勉強机に広げた英語のテキストをぼんやりと眺めたまま、小さく呟いた一人言。


あれからそのまま家に帰ってきて。
一人の家で、自分の部屋で、眺める英文は右から左へ流れる。


「だだいまー!」


玄関の扉が開いて、お母さんの元気な声が二階の部屋まで届いた。


「お帰りなさーい」


私も大きな声で答えてから椅子を降りて一階に向かう。


「あー、疲れたー。見て雪那、新発売のお菓子買ってきちゃった!」
「お疲れさま。美味しそうじゃん」
「でしょ?あとで食べようね!」


お母さんは両手にスーパーのレジ袋を持っていて、さっさと冷蔵庫に直そっと、とリビングに向かっていった。