それからはほとんど毎日、日野雄大のお見舞いに行っていた。


不思議と、日野雄大のお母さんと鉢合わせることはなかった。……いや、意図的なのかもしれない。

私も避けてるし、きっと向こうも避けてる。


そして、私がいつも日野雄大のお見舞いに行っているということは、一度もお母さんには言っていない。言えるわけがない。

お母さんだって、日野雄大のことを認めることはできないんだ。そんな相手のお見舞いに毎日行っているなんて。

……私は、親不孝者だ。


「日野ちゃん?」
「あ、ごめん」
「どうしたの?ぼーっとして」


なんでもないよ、そう言いながら剥きかけだったみかんの皮を全て剥いた。


「はい」


その半分を日野雄大に渡す。