日野雄大、と呼んでしまったとき。
ああもう駄目だと思った。

日野雄大を抱き締めたとき。
お父さんお母さんお兄ちゃんごめんなさいと、何度も謝った。


……こうなるだろうから、来たくなかったのに。

だけど会いたかったのも事実だった。
ひかりやあおいくんに無理矢理連れて来られなくても、私はいつかはここに日野雄大に会いに来ていたと思う。


「雪那おつか……」


病室を出ると、外で待っていた三人が居た。

ひかりは私の、涙でぐちゃぐちゃな顔を見て言葉を止めた。


──まだ涙が止まらない。


「雪那、お疲れさま」


ひかりはそっと私を抱き締めると、言いかけてやめた言葉を言い直した。