「……ごめん日野ちゃん」
日野ちゃんの願いを忘れていたわけじゃない。
「俺ちゃんと居なくなるから。……ごめん」
俺はいつだって、もう一度死ぬ気でいた。
屋上から飛び降りた理由を誤魔化して話していたときも。
お母さん、と数日ぶりに呼んだときも。
お見舞いに来てくれた人たちと笑い合っていたときも。
次はどうやって死のうかと、どうすれば失敗しないかと、日野ちゃんの前から消えられるかと、考えていた。
佇んでいた日野ちゃんの足がようやく動いて、俺の居るベッドに一歩一歩近付く。
日野ちゃんは、ただ俺を見つめていて。
「日野く……」
日野くん。懐かしい声でそう言いかけて、日野ちゃんは言い直した。
「……日野雄大」

