心臓が、激しく波打つどころか、もう止まってしまいそうだと思った。
日野くんが私を見つめたまま一歩一歩歩み寄ってくるのを見て、私の足は鉛のように重く動かなかった。
「……日野ちゃん」
私の前までやって来て、愛おしむように囁かれたその声に、ビクッと肩が揺れた。
「日野くん、私今日は墓参り行かなきゃいけないから急いでるの。……日野くんの家だってそうでしょ?」
日野くんは切なげに私を見下ろしてる。
「……日野雄大って呼べよ」
泣きそうな声で言われながら、私の髪にすっと日野くんの手が伸びてきた。
「やめて!」
その手が私に触れる前に、振り払う。
「……触らないで」
日野雄大、だなんて呼べるわけがない。
なんでこいつはこんなに馬鹿なの。
どうしてわざわざ私を苦しめにくるの。

