私のおでこから手を離して、すっと背中を向けた。 「……そんなの、覚えてないわ」 「嘘。忘れるわけないじゃん」 お母さんは背中を見せて立ち止まったまま、黙り込む。 忘れるわけない。家と同じ名字だもん。たとえ忘れたくても忘れられるはずがない。 「もしかして、って……思うことはあった」 黙り込んでいたお母さんがポツリポツリと声を漏らしはじめた。その声は、弱々しく震えている。 「やっぱり……雄大くんの、お父さんだったのね」