その後、なんだかもう何もする気が起きなくて。授業はあと二時間だけだったけれど、どうしても気分が悪いと我儘を押し通して早退した。
家に帰ると、いつもならまだ仕事に行っているはずのお母さんも帰ってきていた。
学校から連絡を貰って心配になったので帰ってきてくれたらしい。
「雪那大丈夫?やっぱり朝吐いてたし……無理しちゃ駄目よ?」
「お母さん、」
おでこに触れてくるお母さんの手が温かい。
どうしてこの手はこうも、安心感を与えるんだろう。
「お父さんを轢いた車の運転手の名字、覚えてる?」
唐突に尋ねられたお母さんの表情は、冷たく固まった。

