夢を見た。悪夢だ。
この夢はもう何度も見ている。

お兄ちゃんが死んでから数ヶ月、私が空想のお兄ちゃんを作り出すまでの間と。数か月前に、私がお兄ちゃんの死を認めてからはずっと。


夢の中の私はまだ幼稚園児で。

そして夢の中の私は、これが夢だと分かっている。

分かっているから、毎回必死に願う。


はやく覚めて。はやく、はやく。
私があの言葉を言うより前に、どうか……。


その願いは毎度、ことごとく破れる。
そして言ってしまうのだ。



「お兄ちゃんがお父さんのかわりに死ねば良かったのに!」


俺のせいで二人からお父さんを奪ってしまって申し訳ありませんでした。そう言って、泣きながら土下座をする、お兄ちゃんに。