「ごめん言うの忘れてた」
そう言ってこっちに振り向いた日野ちゃん。
「イブは会えないと思う」
「イブ?」
……ああ。そういえば。
俺もそうだった。イブは無理だ。
と、考え込んでいると。
「イブは毎年墓参りなの。お父さんの命日だから」
振り向いたまま俺に言った日野ちゃんの目を見て、俺の顔は固まっていたと思う。
日野ちゃんはそんな俺を不思議そうに見つめている。
「日野雄大?どうしたの?」
「……あ。ごめん。びっくりして」
日野ちゃんは俺の顔の前で手をひらひらとさせていて、それでやっとハッとした。
びっくりってどうして?日野ちゃんがまた不思議そうに尋ねた。
「いや。俺の家も一緒だからさ。……うちも毎年、イブはお父さんの墓参り」
日野ちゃんのお父さんの命日はクリスマスイブの十二月二十四日らしい。
そして俺の父親の命日も、十二月二十四日だった。
「そうなの……?凄いね」
日野ちゃんも勿論初めて知ったこと。驚いている。
だけど俺は、驚きだけじゃなかった。
妙な胸騒ぎがした。

