「日野ちゃんごめん。俺も寝ちゃった」
「ああ、まじで……」
のっそり体を起こす日野ちゃんの髪の毛は、ボサボサ。
「あと今からお母さんが帰ってくる」
「うん……。え」
日野ちゃんはパチパチと瞬きをする。
目が覚めたみたいだ。
「帰る?会ってく?」
「会う!」
即答。なんでそんなにワクワクしてるんだろう。
日野ちゃんは手鏡を取り出して、髪の毛を整えている。
「そんなすぐには来ないと思うぞ」
「何分後くらい?」
「んー、三十分後くらいかな。それまで生物やっとく?さっき出来なかったし」
日野ちゃんはうーん、としばらく考え込んだあとに小さく首を振った。
緊張してるから集中できそうにない、と。
そんなに気張らなくても。
「お喋りしとこう。だらだら」
「まあ俺は何でもいいけど」
そう言ってベッドから腰を上げて胡座をかいたような形で座っていると。
日野ちゃんが、胡座をかく俺の脚の中にちょこんと座った。
……これは何だ。後ろから抱き締めろってことか。そうだな、うん。

