「なんかこのまま寝ちゃいそ……」
ぼんやりした声で言われたので、日野ちゃんの顔を覗き込んでみれば、日野ちゃんの目はトロンとしている。
……何リラックスしてくれてるんだ。
本当に俺、大袈裟でもなんでもなく、日野ちゃんの百倍ドキドキしてたらしい。
とてもリラックスなんてできないぞ、俺は。
まるでさっきとは反対だな。
……しょうがない。
「ちょっとくらいなら寝てていいよ」
「ごめんね……じゃあ十分だけ……」
そのままスーと小さな寝息が聞こえた。
本当に寝てしまったらしい。
初の日野ちゃんの寝顔だ。
……今のうちに撮らないと。
ポケットからスマホを取り出して、無音カメラで日野ちゃんの寝顔、ゲット。
「家宝にしよう、これは」
馬鹿みたいな一人言を呟いたあとに、恥ずかしくなった。大丈夫か俺。
溜め息をついてから、スマホを手にしたまま、日野ちゃんの寝顔を眺める。
ずっと、このままなら良い。
ずっと日野ちゃんが、側に居てくれたら。
……それだけで俺は、世界一の幸せ者だ。
本気でそう思った。
思って、なんだか胸が締め付けられるような切なさを感じた。

