「日野ちゃんつまんない?」
尋ねると、日野ちゃんは椅子の回転を止めて俺の方を向いた。
……そんなに力強く頷かなくても。
「じゃあこっちおいでよ」
そう言って、寝転んでいるベッドに少しの隙間をつくる。
途端に、ボンッと赤くなる。
「無理!」
おお、即断られた。
だけど俺がそんなにすぐに諦めるはずがなく。
「照れてんの?」
「照れてないっ!」
「じゃあ来なよ」
「行くしっ!」
日野ちゃんを操るのは簡単だ。
椅子から立ち上がった日野ちゃんは、一歩進んだところで立ち止まった。
「日野雄大」
「何?」
「い、行っても良いけど、触らないでよ!」
「……んな無茶な」
本当無茶苦茶なこと言うな、日野ちゃん。
シングルベッドで二人並んで、触れるな、って。
「触っても良いけど、変なことしないでって意味!」
「変なこと?変なことって何?どんなの?」
「……ああもう、うるさい!」
日野ちゃんは半ばキレ気味で俺のベッドに飛び込んできた。
……ああ。やっぱり背中向けて寝転ぶのか。

