「いや違っ、私はこいつが誘ってきたから嫌々行っただけでっ……」
「はあ!?俺が誘ったんは暇で暇でしょうがなかったから、どうせ一人やろうなっていうこいつにメールしただけや!」
「どうせ一人って何よ!」
「別に何も間違ってへんやろうが!」


……あの。もういいです。

二人をからかおうと思ったのに、二人はすぐに二人の世界に行ってしまうみたいだ。


「それにしても、こいつらは言い合いしか出来ないのか」


シャーペンを持ったまま二人を眺めていた日野雄大が、呆れたように言った。


「まあ、いいんじゃない。仲良しで」
「仲良し……か。まあ確かに」


日野雄大は嬉しそうに笑った。


私の場合、日野雄大が奴隷というかたちから始まったから日野雄大も奴隷癖が抜けなくて、結局喧嘩にはならないけど。

……もし日野雄大が折れてくれなかったら、喧嘩なんてしょっちゅうだろうなあ。


「日野雄大、いつもありがとう」
「え、何。気持ち悪い日野ちゃん」
「何だとこら」


いつも結局折れてくれて、我儘聞いてくれて、ありがとうございます。

……直す気は、さらさら無いけど。